耳朶へ灰、此岸に根雪、とがおへどなほゆきあかり 陳べよ
この身へと
星ひゆる河岸にとどまり吾が遺骨なべて宿世の
沈黙のおほきざはしをすぐるをり契約の箱はきよき残骸
暗黒行 削られてゆく鳥たちの貌・臓器・骨、串刺しの喉
闇時雨 文盲の吾がための識閾に吊られたるタブラ・ラサはも
さきはひを着崩しつつうつうつのかがよひはつる奈落のきりぎし
悪霊をすかして見ゆる
いまだ鼓動たかく響かす生身ゆり留金のやう骨、皮はづせり
まなことぢ酷寒の棺に火ともすころ
うち棄つるものなきにしてあやしまず 薄目に見る死後の檳榔樹