降りつもりふりつもらざる記憶の灰/ハヒノキオクを夜へ孵して
撃鉄のおろさるるをり蜻蛉はこめかみのふる軌道を飛べり
血にあらず、セシャイの
掟の日
とりかぶとストリキニーネの朝明けに卓の皿には
夜ののち 順次運ばれそれらは 黒ずみ苦悶は 「
砂に充ち、境界にみちて 夜のための蝶番となるアラム・ナハライム
幽閉のゲットーの宵に朧月ミリアム鳴らすタンバリンの膜
騾馬
いつしかとあらますときもあらなくに
臨死にも皐月の風をまきつけてエシコルの谷にきざす光
指折りて砂を数ふる歳月にアザゼルの方へ山羊は歩めり
パダンアラム割礼おびし痛苦の匣