髪ふかく失墜ふかくありけるを雨ふるやうに 「
土ならつち
唄はるるものうたはれざるもののはざまに 〈揺らぐ〉われらなきわれらは
ながき死のそのたまさかの消長に着色すべき火、喪服、悪寒
喉に沈む
消化器のガラス張りの一室に
うるはしき毛細血管をたづさへて遺骨を踏みて
脱腸と痴呆のはざまにひひらけば失禁のまにま悼む自画像
汝とふ失はれし貌をよそほひて
咽ひとつ潰してわたる焼野原おぎろなきかな声なき地はも
無限行 膝から下も消えはてて 《万軍の主》は永久戦争
投身のあさまだきの石楠花のほのゆらぎつつあかく裂けゆくを
まぶしもよ袂に結ぶ麦の穂もマルキエルの嗣業となりぬ
心臓のはじけるまにま過てる距離のさなかに咲くベラドンナ
うつそみのわれらの