昇汞記

うたのゆくへ

短詩 (1)

幹、雲よりもちかくへ
たくさんの手足はほどける
ぼくのくちばしの
黒さのほとりで 


すでにためされた窓
はがされた地平線から
ひくべきだろうか そのカーテンを
お前の喉元まで
そのうすい水しぶきを


灰の夕べ
ながれた血とおなじ静けさで
ー浴びる 
時間を
その全重量を


おおわれている
沈黙によって
ことばの骨格は
すみずみにいたるまで
息と息のはざまで


それはとどいた
さけびのかたちで
雲よりもはやく
雪よりもなおおさない
ゆるされた光のなかを